はじめに
今回の新型コロナウイルスへの医療関係機関の対策を見てきたが相変わらずの対症療法の枠組みから一歩も出ていない。従来の抗原抗体反応に対する抗ブロック薬という対症療法のいたちごっこではなく、ウイルスそのものを殺してしまう手法を何故開発しないのであろうか。
Wikipediaで検索しても、ウイルスに関する研究は膨大な量に上り、その感染のメカニズムもかなり明らかにされつつあるが、分析機器の精度が上がることで皮肉なことに対象がさらに複雑化し、逆に混迷を深める結果となっているように思える。これまでの自然科学を発展させてきた要素還元論的手法が生命系に足を踏み入れた途端、生命体を構成する複雑な要素が有機的につながっていて、この繋がりによって現れる膨大な数の順列組合せによる表現型を単純化した物差しでは計れないことが分かってきたのである。それにもかかわらず、医療の分野は抗原抗体反応の枠組みの中で新型コロナウイルスに対する抗体を作ることやワクチンの開発という金儲けの方向に走り、政治や経済は自然科学に無知な文系の人間で占められているため対策は混迷を極めている。その間に、新型コロナウイルスはどんどん進化していくため人類は正にパニック、カオスの中にある。
抗ウイルス対策の具体的な手法をこれまで明らかにされてきた研究に基づいて部外者の立場から提案させて頂こう。
Japan Food Research Laboratoriesという企業で、主にリアルタイムPCRを用いたノロウイルスの検出試験や、ウイルス不活性試験等を実施しているようですが、この会社が“ウイルスについて~ウイルスと細菌の違い~”というのをネットで流しているのを読むと、その中に、“ウイルスと細菌の違い”という稿で次のように記載されています。
“例えば、細菌除去フィルターについては、フィルターの孔径よりウイルスの方がずっと小さいので、そのまま通過してしまいます。また、抗生物質については、細胞の構造や機能に作用するため、それらを持つ細菌には効果的ですが、それらを持たないウイルスには有効ではありません。それでは、ワクチンについてはどうでしょうか。ワクチンは、弱毒化や無毒化したウイルスを事前に人間や家畜などに投与し、自己免疫を高めることで感染リスクを下げるためのものです。つまり、ワクチンは予防に効果を発揮するもので感染リスクを下げるためのものです。つまり、ワクチンは予防に効果を発揮するもので、治療の手段ではありません。ウイルスは構造が単純で、ウイルスに特有の特徴が少なく、また、細胞の中に潜り込んでしまうため、細胞に影響を与えず細胞中のウイルスだけに特異的に効果を示すような抗ウイルス薬の開発は非常に難しいのです。”この企業は、ウイルスの検出試験やウイルス不活性化試験を生業としているようで、問題解決の役割はほとんどしていないでしょう。しかし、彼等の経験から、ウイルス対策に関する現状を明確に示してくれていることは有難い事です。
これで、私がこれまで述べてきた現状認識に対する裏付けの一つを示すことが出来ました。すなわち、現状の医学はウイルスに対する根本的な駆除対策、駆除方法はエタノール殺菌以外には持っていないことが明確になったわけです。
そこで、これまでのような無能な対症療法ではなく単純明快にウイルスを殺す方法を提案しましょう。
エチルアルコールの殺ウイルス機能について (参考資料[1])
これまで、ウイルスを殺す唯一の手段として最も効果の高いと言われる70%のエチルアルコール水溶液が用いられていますが、細菌やウイルスはほとんどがタンパク質で構成されています。エチルアルコールがこれらの生命体に効果があるのはこのタンパク質を変質、変性させる機能を持っているからです。
70%の水溶液のエチルアルコールの殺菌効果が高いのは、エチルアルコール分子が水素結合、疎水結合により一層のポリマー(高分子)様の構造を形成し、さらに水分子と会合することによって大きな疎水性表面を持つクラスターを形成していることが知られています。このクラスター構造が完璧に出来上がる分子組成比がエチルアルコール:水=1:1、すなわち重量比で70%の溶液なのです。このような構造体が何故殺菌効果があるのかはいまだに明確にされていないようですが、現象的には、細菌、ウイルスの細胞膜やタンパク質などが破壊、変性を受けることが観察されており、その結果細菌やウイルスが死滅するのであろうと言われています。そこで単純な実験をしてみましょう。鶏の卵の卵白だけを取出し、これに70%エタノール水溶液を常温で加えてみるとあっという間に半透明の卵白が白濁してしまいます。卵白はタンパク質の塊ですから明らかに変性したことが示されました。簡単にできることですから、自分で確認してみてください。
エチルアルコールの分子式はC2H5OHで示され、C2H5+のエチル基とOH-のヒドロキシ基(水酸基)に分けられます。ヒドロキシ基は電子供与性が強く、相手の物質に電子を与える還元力を持っているため、相手の分子構造を変えてしまう、即ち変性させる結果タンパク質を構成するDNAやRNAを破壊してしまい、細菌やウイルスを殺すことになると考えてよいでしょう。70%水溶液のエチルアルコールは前述したように分子同士が強固なクラスターの膜を形成しており、さらに水分子の膜との積層構造で細菌やウイルスを包み込み、水分子のヒドロキシ基との相乗効果も加わり細胞蛋白を破壊してしまうと考えられます。
特に、ウイルスの場合、その大きさは数十~数百ナノメートルですから、70%エチルアルコールのクラスター膜はミクロン単位の大きさと考えるとウイルスを完全に包み込むことが出来、ウイルスの蛋白構造を破壊できるでしょう。(1ミクロン=1000ナノメートル)
問題はエチルアルコールの揮発性と引火しやすいことにあります。70%水溶液を噴霧しても簡単に気化してしまい効果がなくなると同時に大量に使うと爆発の恐れがあります。そこで登場するのが竹酢液です。次回はこれに付いて実証実験も含めてまとめてみましょう。
野村隆哉研究所 野村隆哉 2020年7月15日
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