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懲りずに続ける(Ⅳ)その4

竹酢液のアトピー性皮膚炎に対する消炎効果について

前述したように、私の周りで竹酢液によってアトピー性皮膚炎が軽減したり、改善されたりした人々と、効果がなかったり逆にひどくなったりする人を分けてみると、効果があった人の方が多い。これらの人々は、そのほとんどが既存の治療法によって症状が改善されなかった経験を持っている。このような人々に対して治療効果があるということは、新規の治療薬として大いに注目されてもよさそうであるが専門家は横を向いたままである。あまり批判ばかりしていると嫌がられるので、拙いながら専門書から援用した知識を基にアトピー性皮膚炎に対する竹酢液の効果について述べてみたい。
はじめに、竹酢液と木酢液の組成分の類似性、相違を表三に示す。
木酢液については文献値で、アカマツ、クヌギ、カラマツ、ヒノキおよびユーカリについてまとめたもので、微量成分については上げていない。
竹酢液は、モウソウチクが主で、一試料だけマダケが入ったものをまとめた。表三で見ると、木酢液にあって竹酢液にないものがあるように見えるが、この表は両者とも測定の際にそれぞれの微量成分は表示しないで省いてあることを念頭においてみて頂きたい。表三から分かるように、主要成分の構成は共通するものもあるが、全体で比較すれば木酢液と竹酢液は明らかに異なるものであることが分かる。両者とも多成分系のややこしい混合物であることは間違いないが、竹酢液の場合は、モウソウチクやマダケに特定できる点で少しは扱いやすいだろう。
アトピー性皮膚炎の詳細については、メルクマニュアルという医学全般にわたる最新の情報を簡潔にまとめた素晴らしいテキストブックから引用させて頂いた。
アトピー性皮膚炎は、これまで効果の顕著なステロイド剤(副腎皮質ホルモン)の投与によって対症療法的に安易に扱われてきたようであるが、メルクマニュアルを読むと、免疫不全疾患に関わる厄介な問題がその奥に隠れていることが明らかにされている。それにもかかわらず、我国の医学界ではこの事を世に伝えていない。まさに、医者にあるまじき行為が平然と行われているのである。詳細は、メルクマニュアルを読んで頂くことにして、アトピーについてメルクマニュアルから簡単にまとめておく。
アトピー性疾患とは、4種類の型に分類された過敏症による疾患のⅠ型に分類されるもので、外来性あるいは内存性の抗原(アレルゲン)が身体組織の肥満細胞と血中の好塩基球の膜受容体に結合している特異的な抗体である免疫グロブリンEと結合した結果引き起こされる。
この抗原抗体反応によって、強力な血管作動性および炎症性の媒介物質の放出を引き起こす。この媒介物質はいろいろあるが、代表格がヒスタミンで、血管の拡張、毛細管浸透性の増加、分泌腺での分泌過多、平滑筋の痙攣、および好酸球と他の炎症性細胞による組織浸潤を生み出す。
これがアトピー性皮膚炎である。
ヒスタミンは人間の皮膚に多く分布している。ヒスタミンの化学構造は図二のような構造で、エチルアミンの仲間である。
エチルアミン(C2H5NH2)はアンモニアよりも強い塩基性の物質で、酸と出会うと塩を生成する。ヒスタミンは普段は他の物質と結合して不活性な状態で皮膚や筋肉などに存在する肥満細胞と呼ばれる細胞内に顆粒状で存在しているが、上述したように抗原(アレルゲン)が出現するとそれに対抗する抗体(免疫グロブリンE)との反応で活性化され、これが過剰に放出される結果アトピー性皮膚炎を引き起こすことになるらしい。しかし、ヒスタミンの特異的、恒常的機能についてはほとんどわかっていない。ヒスタミンの作用には、H1レセプター(受容体)を介する作用とH2レセプターを介する作用があるらしいが、これらのレセプターについてもその作用機構は分かっていないようである。要は、不必要なヒスタミンの出動を抑えてやればよいわけである。
分かりやすく言えば、ヒスタミンとH1レセプターによって、主としてアトピー性皮膚炎が、ヒスタミンとH2レセプターによって潰瘍性疾患が生ずるのであるが、ヒスタミンとH1、H 2レセプターがくっつく前に無害の物質をそれぞれのレセプターにくっつけてやり、ヒスタミンがレセプターと結合するのを阻止すればよいという考え方である。
この考えの基になるのが、レセプターを鋳型の雌型、ヒスタミンを雄型と考えた場合、雌型にヒスタミンがはまり込む前に別の物質をはめ込むような表現が成されている。
このような考え方で開発されたヒスタミンH1受容体拮抗薬(H1ブロッカー)として用いられている抗ヒスタミン剤を表四に示す。
表から明らかなように、人間に対する生理作用の面から見れば気持のよい物質ではない。これらが薬として認められているのである。しかも、下手するとこれらの薬剤の副作用によって新たな疾患を誘発する可能性を明確に持っており、この事についてもメルクマニュアルにはっきりと記載されている。何とも気持ち悪い話である。背に腹は替えられないとはいえ、まさにブラックユーモアである。
これらのH1ブロッカーは経口、経肛門あるいは静脈注射、筋肉注射によるもので、特に胃腸管からよく吸収されると述べられている。外用とは書かれていない。この事から考えると、これらの薬剤を用いた抗ヒスタミン軟膏などの塗布薬の効果は疑問視される。もし、効果があるとすれば、それらのほとんどが副腎皮質ホルモンを含んでいると考えるべきである。ここにも一般人の無知につけ込んだ製薬会社の詐欺的行為がうかがえる。
通常の抗ヒスタミン薬は一つあるいはそれ以上の環状基(表四の化学構造で五角形、六角形で示されている部分)に結合したヒスタミンに類似の置換されたエチルアミン側鎖を持っている。図二に示したヒスタミンの化学構造のエチルアミン部分と抗ヒスタミン剤の置換されたエチルアミン構造の類似性がヒスタミン受容体との反応において重要で、これらがヒスタミンに対して拮抗的阻害物質として作用するようである。
さて、本稿の目的は竹酢液がアトピー性皮膚炎に対しての効果の有無を論ずることであるから、複雑怪奇な病理の解明という袋小路に迷い込むことを避けて端的に整理してみよう。
表四に示した抗ヒスタミン剤の機能は、ヒスタミンあるいはその受容体の官能基により反応性の高い他の官能基をくっ付けてしまいヒスタミンや受容体の機能を変えてしまえばよいという単純な構図が考えられる。竹酢液に含まれる多くの成分には抗ヒスタミン剤と同じ官能基が存在する。しかも、生理的に厄介なアミン類については、抗ヒスタミン剤のような複雑な化学構造のものはない。それに猛毒の青酸カリ(シアン化カリウム、KCN)のシアノ基(‐CN)を含まないから、素人目には既存の抗ヒスタミン剤より生理的には安全のような気がする。その上、ヒスタミンやその受容体の官能基とよりラジカルに反応し、それらを不活性化するとなれば願ったりかなったりであろう。なぜなら、竹酢液に含まれている官能基は特定された抗ヒスタミン剤よりはるかに多く含まれており、ひょっとすると、より活性化機能の高い官能基が存在するかもしれない。さらに、竹酢液に含まれている多くの酸類は、ヒスタミンのエチルアミンと反応して塩を形成し、これによってもヒスタミンを不活性化することが考えられるだろう。
現象的、体験的には竹酢液のアトピー性皮膚炎に対する消炎効果が認められているのであるから、上述のような反応が起こっていると考えて間違いないであろう。

(続く)