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懲りずに続ける(Ⅲ)

「メルクマニュアル」という素晴らしい医学書のご紹介

今回の新型コロナウイルスへの対応に関わらなければならない関係者、関係機関の対応を見ていると相も変わらずのドタバタ劇で、感染者に対する措置も対症療法の域を一歩も出ていない。一種類の抗ウイルス剤で効かなければ、二種類、二種類で効かなければ三種類。その中で三種類目の薬としてエボラ出血熱に対する抗ウイルス剤を加えたら効果があったというWHIの報告が報道されていた。現代文明の社会にあって、これほど自然科学の各分野が精緻化され膨大な知の蓄積が成されているにもかかわらず、自然現象として全ての生命系に現れる事象を、私の好きな言葉であるが、空海やビィクトル・シャウベルガーのように統一的、根源的に捉える事の出来ない人間ばかりが増えてきていることが、今回のみならずこれまでも見られたように恐るべき稚拙な対応として現れて来ているのではないだろうか。自然科学は繰り返し述べてきたように、その主流がデカルトの「人間以外は全て物質である」という考えとアラビアの錬金術に端を発した要素還元論を基に発展してきたもので、人間の属性として備わっている感性、知性、悟性の内、自然界で生きていくための生存本能として特化させてきた後天的な知性のみを重視してきた。現代医学のあり方に目を向けると歴然としている。総合医学と称して総合病院が目白押しだが、内科学という分野は衰退の一途をたどってきた。内科は、本来初診者が病状を未熟な表現で訴える言葉や身体的に現れている諸症状を総合的に判断し、的確な処方を見付けるという極めて困難な作業が必要である。そのためには、内科医自身が程度の差はあれ、医療の専門分野を全て習得していなければならない。
私が、木材という生命体を私達の住居の材料として使わせてもらうためには、自然環境、自然科学の全てに亘って目を通すという作業をしなければならないのと同様である。この作業は極めて困難であることを医学の世界で見極めた人々によって、アメリカで「メルクマニュアル」という医者のみならず一般の人々がより普遍的に医学を学べる本が1899年、今から121年前に出版され、その後5年毎に改定され、1992年に第16版が発行された。これまで、この手の書物は我国では皆無であったが、1994年に愛知県がんセンターの内科医長をしておられた福島雅典さんの手によって総数117名に及ぶ翻訳協力者の手によって2767頁の日本語版が完成した。私は1994年の第1版を手に入れ、今日まで26年間、座右の書として愛読している。2019年に第21版が発行されていると思われるが、この日本語版が出されているかは不明である。
私が購入した当初の本の価格が13,592円であったから、一般の人々が買うとは思われないが、医学に無知のまま、法外な医療費を払うことを思えば安いものではないだろうか。
それにしても、今日の医学の現状を見ると医者や厚生省の役人達がこの書を座右の書にしているとは考え難い。彼等は、自分たちが公の仕事をやっているという認識も、責務も感じていないと思われる。
これからは、自らの感性を研ぎ澄まし、自然観照によって自らを、自らの家族を他力本願でなく、自力本願で守って行かなければならない時代が急速に近づいてきていると思われる。私は、学者の端くれであるが、科学者ではない。科学を決してバカにしているという意味でなく単なる検証のためのツールに過ぎないと思っている。
せっかく、このような素晴らしいツールが、心ある医学者たちによって出版されているのであるから、一般の人々に伝えるのも私の役目と思っている。専門ではないが、新型コロナウイルスについての情報をこの書のウイルスに関連する記述を引用させて頂いて学者の立場からなるべく正確に伝え、無知であるが故に生ずる恐怖心という心のパンデミックに陥らないよう手助けが出来ればと考えている
次回は、このメルクマニュアルから必要と思われる部分をご紹介して行こう。